広島インドネシア協会  

活動実績

講演会・交流会

2020.1.28

ホテルグランヴィア広島にて、「講演会・交流会」を開催し、会員やインドネシア留学生とそのご家族など約140名にご出席いただきました。講演会テーマは「インドネシアにおけるヒューマンネットワークの構築―広島大学の取り組み―」で、広島大学大学院 国際協力研究科教授の肥後靖様と、同工学研究科教授の濱田邦裕様にご講演いただき、会場では、「広島大学でこのような素晴らしい取り組みをされていることを初めて知った」「今後も広島とインドネシアの発展への貢献に期待したい」といった感想が多数聞かれました。交流会では、留学生による舞踊「ガンビョン パンクール」の披露、在広島インドネシア留学生会代表者のご挨拶、インドネシアに帰国される卒業生への記念品贈呈や卒業生代表スピーチも行われ、賑やかで温かい交流会となりました。

「インドネシアにおけるヒューマンネットワークの構築―広島大学の取り組み―」

1990年当時、日本の船舶海洋工学研究は世界トップレベルでしたが、産業的には中国や韓国の追い上げを受け、学生の人気は低迷していました。大学で研究成果を上げるには優秀な若い人材が必要ですが、日本の優秀な学生の確保に苦慮していたため、東南アジアから迎えるべく、1994年にインドネシアを中心とした東南アジアを研究対象とする国際協力研究科が創設されました。当時、国際協力研究科のある大学は国立大学中わずか3つ、しかもインフラ整備の開発協力を担う技術系工学分野の教育も行うという点で、広島大学は大変ユニークでした。

しかし、国際協力研究科を創設しても、現地との交流がなくては優秀な学生は集まりませんでした。そこで「日本学術振興会 拠点大学方式交流プログラム」に応募したところ採択され、1997年に「アジアの海上輸送工学」をテーマとした学術交流を開始しました。インドネシア側はスラバヤ工科大学を拠点大学とした15大学、日本側は広島大学を拠点大学とした12大学で研究組織を組み、2006年までの10年間、現地の課題に現地研究者とともに取り組みました。交流の精神は「主役は現地の研究者」です。当時の日本の工学系の研究者は現地研究者との共同研究の経験に乏しかったため、当初は文化・風習・価値観の相違に戸惑うことも多かったようです。しかし、共に研究を進める中で協力の機運は高まり、当プログラム終了後も、海事産業振興策や船舶安全策などをテーマとして、現在も現地との共同研究は継続しています。

こうして、本事業は広島大学工学分野における現地研究の核となり、人的交流の促進にも寄与しています。インドネシアの留学生人数は2003年以降増加し、今や中国に次ぐ規模であることも、成果の一つかもしれません。

本事業はインドネシア共和国「海洋国家構想」マリンハイウェイ計画と類似したテーマであることから、本事業の方向性は間違っていなかったと確信していますし、国際協力研究科の創設と事業が工学分野におけるインドネシアとの人的交流の走りになったと考えています。

 

広島大学と諸大学との学術交流事業が開始した後、2000年代に入ると、大学の国際化がますます求められようになりました。

そこで、広島大学とバンドン工科大学は学術交流協定を締結し、技術的自立を目指した技術移転統合モデル開発の研究のため、バンドン工科大学の中に「広島大学バンドンセンター」を立ち上げました。当センターは留学生の受け入れや国際産学連携の促進を目的とし、開所と運営には広島の企業からも支援をいただきました。

バンドン工科大学と広島大学が共同して、進出側の日本企業と受入側の現地労働者の意識調査を行ったところ、労働者の満足度や熟練労働者の割合が転職者数に関係することや、現場の成功・失敗例など、本音に基づいた調査結果をまとめることができ、特に現地企業に大変喜ばれました。

また、この調査から新たな課題も見えました。日本企業がアジアの優秀な人材の確保を求めても、日本型ものづくりの人材育成はコミュニケーション重視で時間がかかり、人材がなかなか定着しないこと、アジアの高学歴人材はエリート意識が高いため現場作業者とのギャップがあることなどから、日本企業の海外展開キーパーソンの育成を目的として、修士課程2年間の教育プログラムを開発しました。留学生にはビジネス日本語や日本企業インターンシップなど日本企業で活躍するための実践的な内容を、日本の学生にはアジア進出企業への海外インターンシップなどを盛り込みました。また、両留学生の情報交換の場も設けることで、互いの異なる経験が相乗効果も生み出しています。

こうした取り組みの効果として、継続的な人的交流の仕組みが構築されています。卒業した留学生は、現地の留学候補生に広島大学を推薦するようになり、また、現地の日系企業のエンジニアや研究者として就職するようになりました。大学研究者も、人脈は個人的・短期的にとどまらず、組織的・長期的に共有されています。今後は、インドネシアで構築した超長期的・戦略的な人的交流の仕組みを、他国でも展開したいと考えています。

このページの先頭へ